診療科・部門

人工関節センター

明るく長生きするために健康の秘訣は歩くことです。膝や股関節の痛みで歩くのがつらい人は大勢います。そんな人々が人工関節治療で再び歩くよろこびを取り戻しています。

済生会兵庫県病院整形外科は、近年安定して年間550例を超える手術を施行しています。その中でここ10年以上にわたり人工股関節+人工膝関節合わせて100例前後の手術を施行しています。

経験症例が多くなるにしたがい、人工関節のゆるみの問題、それによる再置換の必要も今後多くなることが予想され、今後責任を持って専門的・継続的に当院で人工関節の手術を施行し術後経過を診るため、以下を特徴として人工関節センターを設立しました。

  1. 地域における長年の人工関節手術の実績と評価
  2. 継続的な医師の診療
  3. 希望にそった入院手術
  4. 実績信頼のある入院看護、リハビリテーション体制

2014年5月1日より人工関節センターとして下肢人工関節の診療を開始しました。神戸市北区を中心とした地域でよりよい整形外科/人工関節に関する医療をすすめていきます。下肢の関節の痛みでお困りの方のお役に立てるような診療にあたります。

月曜日と木曜日の午後2時より午後4時まで、整形外科外来にて診療を行っています。初めて受診を希望される方は、かかりつけ医の紹介状を持参していただくか、あらかじめ電話予約を行ってください。

変形性関節症とは

超高齢社会となりましたが、長生きして幸せに生活するためには、いつまでも元気に自分の足で歩くことが重要です。しかしながら、高齢になるに従って膝や股関節の軟骨が磨耗して骨が変形し、痛みのために歩行障害を呈する変形性関節症に悩む方が増えてきています。   

残念ながら、お薬やリハビリのみでは根本的治療にはなりません。痛みや歩行障害で日常生活もままならない方、またより活動的な生活を積極的に望まれる方は人工関節置換術の適応となります。

人工関節置換術とは

人工関節とは磨耗して変形した骨の表面を切除して、金属やプラスチックの人工物と置き換える手術です。痛みは改善し、骨の変形が矯正されるため、正常な日常生活が期待できます。また、結果がほぼ一定しており、高い満足度が得られているのも特徴です。

かつては、人工関節は 10年くらい経てば入れ替えが必要になるので、比較的若年者には手術が敬遠される傾向にありました。しかし、最近では人工関節の耐久性が良いことが次第に明らかになってきました。それに伴い、比較的活動性の高い時期から手術を行い、十分に満足のいく生活を送られる方も多くなっています。

人工関節とナビゲーション

人工関節の良好な成績を長期にわたって維持するには条件があります。それは正確に骨を切り、正しい位置に人工関節を設置することです。1mm単位、1度単位の精度が必要になります。

2018年より済生会兵庫県病院整形外科では、ナビゲーション手術を導入しました。ナビゲーション手術は、コンピュータに登録した骨格の三次元情報を参考にして骨を削ります。ナビゲーション手術を行うことで、きわめて正確に人工関節を設置することができ、手術成績が向上し、かつそれが長続きすることが期待できます。

人工関節手術をご希望の患者さんへ

痛くて変形した膝や股関節では外出も億劫となり、旅行もままなりません。本当に手術を必要な方に対して、経験豊富な医師が適切な手術を行うと関節はよみがえります。

痛みなく歩ける、行きたい所に行けると喜んでいただく顔を見るときが、私どもの一番の喜びです。しかしながら、手術を成功させるためには手術の良い面ばかりでなく、生じうる合併症など問題点も正しく理解して頂く必要があります。こうした面も含めて医師と信頼関係を築き、共に手術を協力して乗り越えていく必要があります。正しい理解、信頼関係、協力関係のどれが欠けても手術はうまくいかないと考えています。

従って私どもは、訪れる患者さん一人一人とよく話し合い、本当に手術が必要か判断するようにしています。

どんな人が人工関節を必要とするのでしょう

  1. 関節が破壊・変形して痛みを生じて、歩行などの日常生活に支障をきたしている人
    代表的な疾患は、以下の通りです。
  • 変形性股関節症、変形性膝関節症
  • 関節リウマチ
  • 骨壊死

これらの疾患により関節の表面の軟骨が磨り減ってなくなり、その下の骨が露出して擦れ合い痛みを生じています。関節の具合が悪くなると、関節を動かすたびに痛み、歩行や階段の上り下りが障害されてきます。

  1. お薬(鎮痛薬、シップ、関節注射など)やリハビリをしても痛みが改善しない人
    上にあげた疾患では、時間の経過と共に変形は徐々に進行します。残念ながら擦り減った軟骨を元にもどし、変形した骨を元の形にすることはできません。確実に痛みを取り、変形を矯正する根本的治療は手術以外にありえません。

手術を決める前に良く考えて下さい

本当に人工関節手術が必要な関節でしょうか?

レントゲン検査(場合によっては CT、MRI 検査)でかなり進行した関節の変形が見られるでしょうか。関節が痛くなる疾患のなかには人工関節を必要としないものもあります。

たとえば膝には半月板損傷といって関節内の軟骨のクッションが断裂して関節内に挟み込まれ、痛みを生じているものもあります。この場合、断裂した半月板を内視鏡手術で摘出することで痛みが和らぐことがあります。

また、上にあげた疾患でも、レントゲン上変形の程度が軽い場合もあります。この場合は保存療法を考えるのも一法です。

本当に痛みが取れませんか?

どんなに変形が進んだ関節でも痛みが取れることは期待できます。かなり変形が進んだ関節でもほとんど痛みを感じない方がまれにいます。

また、多くの方は痛みの強い時期と、痛みがないまたは軽い時期が数ヶ月~数年単位で繰り返すことになります。 従って、今痛くてもしばらく適当な治療を続けながら様子を見ていれば、いずれそう不自由しないほどの痛みに落ち着くことがないとは言い切れません。

今の生活で満足ですか?

逆に、長年関節の痛みで悩まされていたけれども、年齢の問題、家庭の事情、経済的な問題などで手術を諦めていた方、恐いものと避けていた方も、思い切って手術を行うことで痛みのない安定した関節を手に入れることが可能になります。億劫だった旅行に行くことができるでしょう。手術を決断されるのは患者さん自身です。患者さん個々の問題、事情、不安に対して一緒に考え、最大限にサポートするのが私どもの仕事であると考えています。そして、手術治療を選択された場合には安心して最良の結果が得られるように日々努力しています。

専門特殊外来

毎週月・木 14:00~16:00

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