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発熱性尿路感染症における腎腫大と腎予後との関連の検討

研究課題名 発熱性尿路感染症における腎腫大と腎予後との関連の検討
:Multicenter retrospective cohort study
研究責任者 社会医療法人愛仁会高槻病院 小児科 医長 石森真吾
本研究の目的 <背景>
尿路感染症は上部尿路と下部尿路の感染症に大別され、上部尿路感染症は腎間質への細菌感として一般に高熱を伴います。乳児期の発熱の約5%が尿路感染症であるとされ、乳児の不明熱の原因として最も頻度の高い細菌感染症です。乳児発熱性尿路感染症は不可逆性病変である腎瘢痕を形成しうることが知られ、腎瘢痕が形成されると高血圧や末期腎不全のリスクとなり、腎瘢痕形成を阻止することが乳児発熱性尿路感染管理として重要であると考えられます。一方、腎瘢痕のリスクとして膀胱尿管逆流症、反復性尿路感染症、腎腫大が挙げられます。膀胱尿管逆流症の適切な管理や反復性尿路感染症を防止することが腎瘢痕形成の抑制につながると考えられますが、これらの管理と腎腫大の関連についての検討をした報告はありません。近年、我々は乳児発熱性尿路感染症初発時の腎腫大(超音波検査での腎長径増大)が反復性尿路感染症と有意に相関することを報告しました。
しかしこの研究の限界として、後方視的検討であること、2施設のみの検討であること、腎瘢痕や膀胱尿管逆流症との関連についての検討は行えていないことが挙げられ、より多数例での検討が必要と考えられます。
現在の排尿時尿道膀胱造影の適応は、初発発熱性尿路感染症全例に排尿時尿道膀胱造影を行うわけではなく、反復性尿路感染症や腎尿路異常を合併した例に限られています。初発時の腎腫大例が反復性尿路感染症や膀胱尿管逆流症合併と関連があることを証明できれば、副次的に腎瘢痕形成予防につながると考えられます。

 

<目的>
本研究の目的は初発発熱性尿路感染症の小児に対し、初発時の腎腫大(超音波検査での腎長径増大)と反復性尿路感染症、膀胱尿管逆流症、腎瘢痕との関連を探索的に評価することです。

 

<意義>
腎腫大と膀胱尿管逆流症/反復性尿路感染症/腎瘢痕との関連を検討することで腎瘢痕形成予防につながると予想されます。

研究の概要 (1)対象となる患者さん

発熱性尿路感染症の患者さんで、201441日から2020331日までの期間中に、発熱性尿路感染症として治療を受けた方

(2)利用させて頂く情報

この研究で利用させて頂くデータは、背景情報【性別、出生週数(早産の有無)、出生体重(低出生体重の有無)、アレルギー既往有無(あればその詳細)、基礎疾患の有無(あればその詳細)】、入院時や経過中の検査・評価項目【年齢、身長、体重、血圧、入院期間、腎超音波検査所見、血液検査所見、尿検査所見、治療の詳細】、経過中の治療や転帰【膀胱尿管逆流症あれば手術の有無、高度水腎症あればその詳細、腎シンチグラフィーの詳細、予防抗菌薬使用の有無(あればその詳細)】に関する情報です。

(3)方法

各種マーカーのデータには記述統計を用います。多変量解析を行い、反復性尿路感染症、膀胱尿管逆流症、腎瘢痕のリスクファクターを抽出します。さらに発症時年齢、腎腫大が一過性か否かによる層別化を行い、反復性尿路感染症、膀胱尿管逆流症、腎瘢痕のリスクファクターを抽出します。

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〒651-1302 神戸市北区藤原台中町5丁目1番1号
電話:078-987-2222(代表)
担当:小児科医長 中西啓太
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