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妊娠や産後腰痛の予防の運動療法

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妊娠や産後腰痛の予防の運動療法

腰痛予防のメリット

妊娠中の腰痛はマイナートラブルとして最も多く、約60%の方が経験します。また、出産後の腰痛は1年経過しても67%の方が続いているという報告もあります。

妊娠中や産後は腰痛がでて当たり前の風潮がありますが、適切なエクササイズを行うことで腰痛の改善が期待できる事が明らかになってきています。

腰痛の原因

腰痛の原因として、妊娠中の姿勢の変化が関係しています。赤ちゃんの成長に伴いお腹が膨らむことで、背中、腰、骨盤の位置を変化させ身体のバランスを保ちます。

妊娠中の姿勢の変化

この姿勢の変化により背中の筋肉に過剰な収縮が入り腰痛を引き起こすといわれています。

姿勢と筋肉の関係

図のように妊娠中は膨らんだお腹を支えるために背中の筋肉へ過剰な収縮が入り、お腹や骨盤の筋肉は引き伸ばされ収縮しづらくなり、骨盤から脚に繋がる筋肉は柔軟性が低下します。

姿勢と筋肉の関係

各部位にあわせたエクササイズやストレッチングを行うことが体幹と骨盤の機能を向上させ腰痛改善に繋がります。

骨盤底筋について

骨盤の底にある筋肉を骨盤底筋といい、姿勢の安定や排泄をコントロールする重要な働きがあります。妊娠中や産後はこの骨盤底筋が緩み機能低下を引き起こしやすくなります。

そのため骨盤底筋のエクササイズを行うことは腰痛改善や尿漏れ予防に繋がりますので、実施してほしい運動になります。

運動を始める前の確認事項

・帝王切開を行った方や高血圧がある方などは、安全に運動するために主治医へ相談してから行ってください

・妊娠中で運動を始める目安は、妊娠16週以降で安定期に入ってから行うのがよいでしょう

・出産後の運動を始める目安は、出産後2週以降で体調が安定してから行うのがよいでしょう

・運動前にお腹の張りや不調がある場合は無理に行わないでください

腰痛改善 マタニティ・エクササイズ

 ここで紹介している腰痛改善マタニティ・エクササイズは妊娠16週以降で安定期に入ってから行うのがよいです。息を止めないようにゆったりとした呼吸で行いましょう。体調にあわせて無理のない範囲で継続するのがよいです。

【ふともも裏のストレッチ】
1. 椅子に浅く腰掛け、片方の脚を真っすぐ伸ばし踵を地面につきます
2. 背筋を真っすぐに伸ばし、身体を前へ傾けます
3. 反動をつけずにふとももの裏を無理のない範囲で伸ばします
4. 20秒間保持を左右2セット行います
ふともも裏のストレッチ
【ふとももの付け根のストレッチ】
1. お尻の半分だけ椅子に腰掛け、脚を前後に開きます
2. 背筋を真っすぐに伸ばし、後ろに脚を伸ばしていきます
3. 反動をつけずに太ももの付け根を無理のない範囲で伸ばします
4. 20秒間保持を左右2セット行います
ふとももの付け根のストレッチ
【キャット&ドッグ・エクササイズ】
1. 椅子に浅く腰掛け足を肩幅程度に開きます
2. 手を膝上に置き、骨盤を後ろへ倒し、猫の様に背中を丸め、へそをみます
3. 次に骨盤を起こし、背中を反り、顔を起こします
4. ゆっくりと5回行います
キャット&ドッグ
【ケーゲル・エクササイズ(骨盤底筋体操)】
1.椅子に浅く腰掛け足を肩幅程度に開き、背筋を伸ばします
2.手を膝上に置き、息を吐きながら、膣を引き上げるイメージで骨盤底筋を引き締めます
 ※お尻の穴をギュッとすぼめるイメージで行うのもよいです
3.息を吐きながら引き締め3秒後、緩めて呼吸を整えてから再度引き締めます
4.5回繰り返します
ケーゲル・エクササイズ

骨盤痛と骨盤ベルトの装着について(イラスト要検討)

妊娠中に分泌されるホルモンにより骨盤周囲の靭帯が緩むことで骨盤の関節の可動性が増し、骨盤痛を引き起こします。

背中ではなく赤で示した殿部や恥骨部に疼痛があり、エクササイズを行うことが難しい場合は骨盤ベルト装着して運動を実施することもおすすめです。

殿部や恥骨部の疼痛

骨盤ベルトは脚の外側の出っ張り(大転子)、へそから真っすぐ下に指をそわすと当たる硬い骨盤の骨(恥骨)のラインで装着します。手の甲が入る程度の締め具合がよいです。

骨盤ベルト装着

産後の腰痛改善 エクササイズ

 ここで紹介している産後の腰痛改善エクササイズは、出産後2週以降で体調が安定してから行うのがよいです。息を止めないようにゆったりとした呼吸で行いましょう。

 体調にあわせて無理のない範囲で継続するのがよいでしょう。

【ドローイン】
1. 仰向けになり膝を90度程度曲げます
2. 床と背中がくっつくことを意識し、息を吐きながらお腹をへこませます
3. 5秒息を吐いた後、お腹を緩めて息を吸います
4. 息を止めないように10回繰り返します
ドローイン
【背中と腰のストレッチ】
1. 正座になり両手を前の床につきます
2. 手を前にすべらせるように、骨盤から上半身を前に倒していきます
3. 20秒間キープして元の位置に戻ります
4. 痛みがない範囲で5回繰り返します
背中と腰のストレッチ
【キャット&ドッグ エクササイズ】
1. 四つ這いになります
2. 息を吐きながらゆっくりと背中を丸めます
3. 息を吸いながらゆっくりと背中を反らします
4. 10回繰り返します
キャット&ドッグ エクササイズ
【バードドッグ エクササイズ】
1. 四つ這いになり、背中を床と平行に保ちます
2. 片方の腕を頭の横までゆっくりと伸ばし、また元に戻します
3. 片方の脚を身体と平行になるまでゆっくりと伸ばし、また元に戻します
4. 姿勢が崩れないように腕と脚ともに左右5回繰り返します
バードドッグ エクササイズ


妊娠出産で気をつけたいカラダのこと

– CONTENTS –

■はじめに

■妊娠前からはじめる健康なからだづくりのための食事ついて

■妊娠・出産とカルシウム代謝

■妊娠授乳関連骨粗鬆症(PLO)による脊椎骨折

■妊娠から産後にかけての腰痛

■授乳の仕方・お勧めの授乳姿勢

■育児の大切なコツ

■妊娠や産後腰痛の予防の運動療法

■骨密度検査のススメ(当院の取り組み)

■最後に

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