当院について

育児の大切なコツ

この度はご妊娠・ご出産おめでとうございます。皆様全員がお子さんの健やかな発達を望まれていると思います。そのための育児のコツについて小児科からお話させていただきます。

子どもはいじられて育つ

まず「子どもはいじられて育つ」という大原則を覚えておいてください。

これはどういうことかと言いますと、まずその真逆を考えていただけるとわかりやすいと思います。

赤ちゃんが何の音もしない真っ白な部屋で誰にも接することもなく機械的にミルクだけが必要量配られる環境で育てられたら、果たして健やかなお子さんに育つでしょうか?体だけは育つかもしれませんが、心は育たず言葉も全く覚えないことになるでしょう。言い換えれば子どもは放っておいても育つ、なんてことはないのです。

どうしたらいいの?

全く難しいことはありません。赤ちゃんを見て、「ああ、可愛いな」と思ってそっと引き寄せて抱っこして抱きしめて、優しい笑顔で見つめてあげればそれでいいのです。できれば声かけもしてあげましょう。

赤ちゃんがおっぱい飲みたそうにこちらを見ていたら、「ああ、お腹へっているのね」と返事しておっぱいやミルクを飲ませてあげればいいのです。赤ちゃんが泣いていたら、「どうしたの?」と言いながら駆け寄って抱っこしてあげて、それでも泣き止まなかったら「もしかしておむつが気持ち悪いのかな?」などと言いながらおむつを替えてあげればいいのです。

そういう行動を繰り返すことによって赤ちゃんは、「もしかしてこの人はぼくに興味があるのかな?ぼくが何かするといつも反応して返事してくれるし、最後には笑いかけてくれるし。よしそれじゃあまた困ったらこの人に何かサインを出してみよう。」ということになり、ここから親子のコミュニケーションがどんどん進んでいき、最終的にはそこから”ことば”というものがあることに気づいて、ことばを使い始めるのです。

要するに赤ちゃんが何か動いたことによって周りの大人がそれに対して反応をして行動や声かけをしてくる、その繰り返しによって赤ちゃんは自分でない他者がいることに気づいて、ひとに愛されるという喜びも知り、言葉も使えるようになり、最終的にはその愛をまた別の他者に与えることができる大人になっていくのです。

「いじる」=コミュニケーション

要するに赤ちゃんをいじりまくればいいのです。

いじる、というのはまさにコミュニケーションです。

妊娠中期から胎児は音が聞こえ目も見え始めていますので、生まれたときにはもうお母さんの声は十分に知っていますし、生まれた瞬間からご両親の顔は見えます。いっぱいしゃべりかけて抱っこして近くで顔も見せてあげましょう。

またたくさんの人の手でいじられまくるのも素敵です。

お姉ちゃん、おばあちゃん、おじいちゃん、近所のおじさん、などなどいろんな大人に触られて声かけられてしていると赤ちゃんはぐんぐん育っていきます。

大切なのは、親子のやりとり

でも私は“腰痛”のために十分に抱っこしてあげられないかもしれないし、初めての出産で日中は母と子だけしかいないので、先に書いているようなことはできないよ、という方、大丈夫です。

お母さんが腰痛で抱っこしにくくても、引き寄せて「微笑み」を近くで見せてあげることはできますね。リクライニングチェアでなら抱っこして一緒に過ごすことはできますね。赤ちゃんが泣いていても近くで声かけして微笑みを返すことはできますね。

基本はそれで十分なのです。

無理に気張らなくても、手と表情だけのコミュニケーションで十分に赤ちゃんは愛されていることがわかるのです。

特に初めての出産の場合は気が張ってしまって要領もわからないし夜中の授乳で寝不足になってしまって、つい硬い表情で育児をしてしまうことも少なくないと思います。そういうときには「微笑み」だけを思い出していただき、赤ちゃんとコミュニケーションをとってみましょう。ボディータッチだけでも十分に素敵なコミュニケーションです。

大切なのはミルクの量でもなく体重が何グラム増えているかでもなく、親子のやりとりです。それだけ覚えてくださっていれば、あとは何しても大きく間違えることはありません。気楽に育児してくださって結構です。以上、小児科からの秘訣でした。