外来のご案内

遺伝子カウンセリング外来

当院では、平成27年11月より遺伝カウンセリングに積極的に取り組んでいます。
遺伝性乳がん・遺伝性卵巣がんやリンチ症候群などのがんになりやすい体質がある遺伝性腫瘍や家族性腫瘍が疑われる方、遺伝に関する不安や疑問のある方には、主治医が遺伝カウンセリングの受診をお勧めしています。 
遺伝カウンセリングでは、遺伝が関わる病気の遺伝カウンセリングの経験をもつ医師が、患者さんご自身の病歴と家族歴(祖父母、いとこ、孫などを含む)、ご自身の不安や疑問について詳しく伺い、確定診断のために遺伝子検査を受けるかどうかも含め、正確かつ最新の医学的情報を分かりやすくお伝えします。十分なご理解をいただいた上で、その人らしい納得できる選択や行動ができるように患者さんを支援しています。
同じがんの患者さんでも、年齢や立場などにより考え方や価値観は異なり、遺伝カウンセリングに来られるタイミングも術前や術後、化学療法や放射線治療中など様々であり、遺伝子検査に対する考え方も人それぞれです。遺伝カウンセリングでは、その人の価値観や考え方を尊重し、決して遺伝子検査を強制されることはありません。

一般的な遺伝性がんの特徴

  • ご本人やご家族が若い年齢でがんに罹患した(がん好発年齢よりも10~20歳若く発病する場合は、遺伝的な要因が関係していることがあります)
  • ご本人やご家族がひとりで何回もがんに罹患した
  • ご本人やご家族に特定のがんが多い など

遺伝カウンセリング外来の対象となる方

遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)が疑われる方

  • 若年齢でがんになる(40歳未満の乳がん)
  • 1人で複数の原発がんが見つかる(両側の乳がん、乳がんと卵巣がん併発など)
  • 近親血縁者に同種類のがんが多発している(母親、娘、姉妹、祖母)
  • 男性の乳がん など

リムパーザ(オラパリブ)使用のためのBRCA検査(保険適応)希望の方も対象です。

遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)とは

血縁者に、複数の乳がん患者がいる場合を「家族性乳がん」、そのうち、特に乳がんの発症に強く関わる遺伝子が原因で乳がんを発症している場合を「遺伝性乳がん」と言います。
遺伝性乳がんの中で代表的なものとして、「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)」があり、乳がんあるいは卵巣がん患者の中で26.7%は、BRCA1あるいはBRCA2遺伝子の変異を生まれつき持っていることが分かっています。変異が子供に受け継がれる確率は1/2(50%)です。

乳がんにかかる可能性

一般の方乳がんの家族歴のある方遺伝子の変異を持つ方
約8%(1/12人)10~27%41~90%
1倍2~4倍6~12倍

乳がんについてFAQ

乳がんの原因は?リスク要因にはどんなものがあるの?

乳がんの発症に関与している因子として出産、授乳、食生活、良性乳腺疾患などの他に、家族歴が知られています。例えば、お母さんや姉妹が乳がんになった方は、一般の人と比べて2~4倍乳がんになるリスクが高いと言われています。

乳がんの遺伝要因って? 乳がんは遺伝するの?

「BRCA1遺伝子」と「BRCA2遺伝子」の変異を生まれつき持っていると乳がんだけでなく、卵巣がんなどにもなりやすいことが分かっています。

遺伝性の乳がん・卵巣がんは治るの?治療は?

遺伝性の乳がん・卵巣がんも早期発見、早期治療が有効です。HBOC(遺伝性乳がん・卵巣がん症候群)には、「もう一度別の(原発性の)乳がんになる」「乳がんだけでなく卵巣がんも発症する」などのリスクがあるため、それを考慮した個別化医療が行われています。乳がんの原因に合った適切な医療を受けるために、HBOCであるかどうかを判断することは重要です。

遺伝性の乳がん・卵巣がんかどうかを調べる検査があるの?

HBOCの発症に関与している「BRCA1遺伝子」と「BRCA2遺伝子」に変異があるかどうかを調べる遺伝子検査があります。当院では、この検査のお申込み・カウンセリングを承っています。

私の乳がんは、遺伝性? 家族・親戚のこと、遺伝子検査の事・・いろいろ相談したいのですが。

当院では、平成27年11月より乳がんに関する様々なご相談をお受けする「遺伝子カウンセリング外来」を開設しました。遺伝性の乳がんや遺伝子検査、ご家族(血縁者)のことについて医師や専門の看護師にご相談いただけます。
また、ひとりひとりに合った治療方法、検診などについてご相談をお受けします。

リンチ症候群が疑われる方

  • 大腸癌またはリンチ症候群関連癌を有する近親者が3人以上
  • 少なくとも2世代にわたる大腸癌
  • 50歳未満で診断された大腸癌症例が1例以上 など

リンチ症候群とは

リンチ症候群は,いくつかの既知の遺伝子変異の1つを有する患者のDNAミスマッチ修復を損なう常染色体優性遺伝疾患で,大腸がんを発症する生涯リスクが70~80%です。散発性結腸癌と比較して,リンチ症候群はより若年(40代半ば)で発生し,その病変は脾弯曲部より口側にある可能性が高いとされています。前駆病変は通常,単発性結腸腺腫とされています。

費用について

カウンセリング料金

  • 保険適応外:自費で11,000円(税込)
  • 保険適応:3割負担の方で3,000円(非課税)
  • 2回目からは、自費で11,000円(税込)

カウンセリング後十分にご検討いただいたうえで、希望される方は、下記遺伝子検査を受けていただきます。

検査料(結果説明を含む)

検査項目対象者料金
HBOC
スクリーニング
すでに乳がんや卵巣がんを発症している方が対象です。
この検査では、BRCA1/2遺伝子に乳がんや卵巣がん発症の原因となっている変異(病的変異)があるかどうかを調べます。
所要日数:約3週間(提出後より)
保険適応外
187,000円(税込)
※リムパーザ(オラパリブ)使用のためのBRCA検査は、保険適応(担当医師に確認してください)保険3割負担の方で60,600円
(非課税)
HBOC
クイック
「HBOCスクリーニング」をより迅速に解析します。
所要日数:約1週間(提出後より)
保険適応外
264,000円(税込)
HBOC
シングルサイト
BRCA1/2遺伝子に病的変異が見つかった方のご家族が対象です。
この検査では、ご家族が同じ変異を共有しているかを調べます。その家系で見つかっている変異のある1ヶ所(シングルサイト)だけを調べます。
所要日数:約2週間(提出後より)
保険適応外
47,300円(税込)
リンチ症候群スクリーニングすでに大腸がんを発症している方が対象です。MSIまたはIHCが陽性の場合に、特異的突然変異に対する検査です。所要日数:約3週間(提出後より)保険適応外
143,000円(税込)
リンチ症候群シングルサイトリンチ症候群検査で病的変異が見つかった方のご家族が対象です。この検査では、ご家族が同じ変異を共有しているかを調べます。その家系で見つかっている変異のある1ケ所(シングルサイト)だけを調べます。所要日数:約2週間(提出後より)保険適応外
47,300円(税込)

実施日

要相談(予約制)

お問い合わせ

受付時間:月~金 9:00~17:00
TEL:078-987-2222(病院代表)

電話にて、「遺伝子カウンセリングについて聞きたい」とお伝えください。