病理診断科は、手術や検査で採取された組織や細胞を詳しく調べ、病気の種類や進行具合を正確に見極める「病理診断」を行っています。患者さんと直接お会いすることは少ない部門ですが、診断や治療にとって非常に重要な役割を担っています。
当院では、分娩件数が多いことから「胎盤病理(たいばんびょうり)」に力を入れており、妊娠や出産にかかわるトラブルの原因解明や予防に役立てています。こうした取り組みを通じて、周産期医療の質の向上にも貢献しています。
主な診療内容
病理組織検査
手術や内視鏡、針生検などで採取された組織を、顕微鏡で詳しく調べる検査です。病変の良性・悪性の判定、種類、広がりや進行の程度などを診断します。
また、必要に応じ病理検体を用いて、粘液、繊維、細菌、真菌などを特定する特殊染色や、薬剤標的となるたんぱく質や遺伝子の変異の検査を行っています。
特にがんの確定診断、治療方針の決定、今後の経過予測において重要な情報を提供します。
細胞診検査
子宮頚部擦過、喀痰、尿などから採取された細胞の形態を観察し、がん細胞の有無や異常の兆候を判断します。まず、細胞検査士がスクリーニングを行い、異常が疑われる細胞がある場合には、細胞診専門医が最終診断を行います。体への負担が少ない検査方法で、がんの早期発見に役立ちます。
術中迅速検査
手術中に迅速に行う病理診断です。手術中に採取した組織を急速に凍結し、薄く切って顕微鏡で観察することで、15~30分程度で診断結果を出します。腫瘍の良性・悪性の鑑別や、リンパ節への転移の有無、がんの取り残しがないかの確認の際などに行います。
病理解剖
不幸にもお亡くなりになられた患者さんについて、ご遺族の同意を得たうえで、病気の全身への影響や、治療の効果を検証、確認するために行う検査です。これにより、病気の原因や経過の詳細、進行状態明らかにし、今後の診療の質の向上や医療の発展に役立てています。
スタッフ紹介

日本臨床細胞学会 細胞診専門医
厚生労働省死体解剖資格認定
診療実績
各検査件数
病理組織診 | 術中迅速 | 細胞診 | 病理解剖 | |
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2022年 | 1,829 | 83 | 3,677 | 3 |
2023年 | 1,863 | 75 | 3,735 | 4 |
2024年 | 1,888 | 93 | 3,745 | 4 |