Webマガジン

③妊娠・出産とカルシウム代謝

胎児や生まれた赤ちゃんにカルシウムを供給するため、妊娠授乳中のカルシウム代謝は大きく変化します。

妊娠後期から、胎盤を通してお母さんから胎児にカルシウム供給が始まり、また授乳中は一日220〜340mgのカルシウムを赤ちゃんに供給しています。

このように、妊娠中や授乳中には多くのカルシウムを必要とし、妊娠中には腸からのカルシウム吸収を増やしたり、授乳中には母体骨からカルシウムを供給し、必要量を賄っています。そのため、閉経後の女性の骨密度低下が年1〜2%であるのに対し、授乳中はなんと、毎月1〜3%もの骨密度が低下すると言われています。

多くは、卒乳とともに元の骨密度レベルに回復しますが、もともと骨密度が低いお母さんの場合、授乳中の骨密度低下が相まって、ごく稀に骨折などの深刻なトラブルを引き起こすことがありますので、注意が必要です。実際、若い世代の女性にも潜在的に骨密度が低い方が少なくありません。

しかし、骨密度低下自体、まったく自覚症状がなく、検査をしなければわかりませんが、忙しくなかなかそのような機会がないまま、妊娠出産される方がほとんどです。

そのため、当院では妊娠出産時に、赤ちゃんに影響のない、超音波による骨密度検査を導入しており、積極的に啓蒙を行っております。

ぜひ、この機会に検査をして、ご自身の骨密度をチェックしてみましょう!